しかし・・・! 私たちは敢えて二兎を追うことで学習面はもちろん、友人との切磋琢磨、華やかな舞台での活躍、プロの音楽家との共演、など豊かで多彩な高校生活を送りたいと考えています。二兎を追うことはそんなに易しいことではありませんが、毎日の努力を重ねることによって充分に可能なことであると言えます。
いつも目標を持ち夢に向かって努力する、何事にも明るくひたむきに取り組んでいく、人の心に響く音楽を目指していく、そんな人を藤村吹奏楽部は応援します。
以下は私(都賀)の前任校での取り組みが、バンドジャーナルに掲載されたものですが、そのコンセプトは、今も藤村吹奏楽部で生きています。
勉強と部活の両立を高いレベルで果たす
進学校としても知られる春日部共栄高校の吹奏楽部。授業時間が長いため、必然的に短い部活動の時間内で、効果的に練習しなければならないという。そんな全国の学校が抱える悩みを克服した同校が、トップバンドとして活躍できる理由はどこにあるのだろうか。
自由曲に邦人作品を積極的に取り上げて、全国大会3年連続出場という偉業を果たした埼玉県の春日部共栄高校吹奏楽部。顧問の都賀城太郎先生のモットーは、「全員が明るい音で鳴らすこと」ということで、合奏のサウンドだけでなく、部員の皆さんの表情も実に明るい。同校は中高一貫教育で、中学生を合わせると現在では160人近くいる吹奏楽部も、都賀先生が赴任した27年前は、部員がたった1人からのスタートだったそうだ。
進学校としても有名で、ゆとり教育の弊害が叫ばれる昨今、授業は平日7時限目まで、土曜日も行うというなか、部活動をしなければいけないという。取材当日もそうだったが、日曜日にも合奏練習が入るそうだ。しかし、興味深いことに、同校は練習時間が短くなってから、全国大会に出場するようになり、さらに部内の一流大学への進学率も上がったのだという。
「今まで練習してきたことを短い時間でやるにはどうしたらいいのか、子供たちが必死に考え始めたのが良かったのかもしれません。3年生は、合宿で移動するバスの中で勉強したり、練習のあとに居残りしたり、かなり必死にやっています。そういう姿を見た他の生徒も『頑張らなければ』という気持ちになるのでしょう。昨年は、元部長が東大、前部長が早稲田大に合格しました」(都賀)吹奏楽の練習法も受験勉強に似ている。合奏上達の秘訣を都賀先生に聞いてみた。
「上達に近道はありません。コツコツと積み重ねていくしかないので、いかに重箱の隅を突くことができるかだと思います。音の長さや音色などにこだわりながら、ゆっくりとしたテンポで練習すると、どこかで歪みが出てくるので、それを取り除いていくしかないですね」